デジタル回路設計の設計業務は一時期の日本では、とても重宝された技術だ。20年ほど前は、74LSシリーズなどのロジック回路を組み合わせて斬新なデジタル回路設計が旬となり、その後は半導体技術の進歩により、大規模な回路を小さなウェハーチップに構成したASIC技術などが持ちはやされ、盛んにゲートアレイやスタンダードセルなどの設計が行われたものである。
電気製品に搭載されたASICは○○エンジンなどと称され、製品の代表的な新機能を象徴するデバイスとしてもてはやされたのである。しかし、最近は半導体チップの価格競争が激しくなる中、安価なASICを設計することが困難となった。
一方で、その開発費は1チップあたり数千万から一億円位かかり国内企業では開発費を確保することが不可能で、海外に設計依頼を行うか、海外で開発された汎用チップを国内製品に搭載する気運が高まっているのである。
そんな中、国内のデジタル回路設計者は、本来の業務がなくなり不安を抱えている。世の中の求人案件を見てみても、ASIC設計業務としても募集が少なくなっているのは事実である。しかし、10年ほど前からASIC設計手法は、VHDLやVerilogなどのプログラミング言語と似た手法での設計が行われてきた。
そのため、現在ではそのスキルを生かし、ソフトウェア設計業務などに転向する人が増えている。多くのASIC設計者がソフトウェア設計者に転向して成功を収めている。
IoT技術がさまざまな分野で浸透している。家庭でもIoT家電が増えており、Wi-Fi接続さえ叶えば、スマートフォンで操作をすることもできる。場合によっては家電同士で通信しあうことも可能だ。モノのインターネット化はこの数年で一般家庭でも取り入れられるようになり、スマートライフが主流になりつつある。
これまでも機械同士がネットワークを持ち相互接続(M2M)できる方法はあったが、特定の機械同士に限られてきた。IoTの場合は、インターネットを介するネットワークが確立されているため、機械間接続に広がりが生まれる。これによって遠隔操作や遠隔地からの情報収集なども容易にできるようなった。機械制御や監視を定点で集中して行う、定期的に計測した情報をセンターで集中して収集するといった自動化も容易となった。
近年では、こうしたIoT技術を駆使したさまざまなシステムが、IoTエンジニアによって開発されている。時代の流れに伴い、IoTエンジニアの需要が軒並み高くなっていることは言うまでもない。IoTエンジニアを目指す人口も増加傾向にある。IoT技術に興味があればチャレンジしてみる価値はあるだろう。(※IoTエンジニアの概要については「モノとインターネットをつなぐ【IoTエンジニア】」というサイトに説明あり)
では、IoTエンジニアが開発したシステムには具体的にどんなものがあるのだろうか。活用例をあげると、「ペットの健康管理」がある。猫用トイレにセンサーとインターネット接続機器を取り付けたものがその例だ。猫が排せつをすると、飼い主のスマートフォンに排せつを知らせる通知が届く。トイレ側では排せつの回数や量を分析し、健康状態を把握する手助けをするものだ。猫は腎機能が弱いため、排せつの回数や量で病気の有無を把握する必要がある。外出が多い飼い主にとっては安心だろう。
なお、スマートフォンのアプリと連動し、尿の回数や時間などグラフによって可視化できる。またカメラも搭載されているので、排せつ前後の猫の姿も画像で送られてくる。普段のペットの様子までわかるので、大きな活用例となるだろう。